ここ1年半ほどで、迷い犬を3度保護したお話。
うち2件はすんなり解決したから良かったものの、1件は少し時間がかかったので、それぞれの体験談を、もし同じ境遇に遭った人に向けて僕はこうしたっていうのを共有したいと思う。
まず結果から言うと迷い犬を見つけたら
・毛並みを見てどれだけの時間を放浪しているのかを判断。
・それほど時間が経っていないようならその場でしばらく待ってみる。飼い主が近くを探しているかもしれない。
・連れ帰って保護するのならまず病院。おなかを空かせているからとすぐに食べ物を与えずまず獣医の指示を仰ぐ。
・迷い犬の届け出が出ていそうな施設に問い合わせ。僕は警察・動物病院・ペットショップに連絡しました。
・SNSを活用してみる。内容は写真・犬種・毛色・身に付けている物の特徴など。※解決したときはその投稿を必ず削除すること!
これらを実践することで確実に解決に迎えるというわけではありません。
少しでも、飼い主様の所へ導くためのひとつの方法であるという事を踏まえてご覧ください。
Contents
2番目の子
まずはスピード解決した2件のうちのひとつ。経験順で言うと2番目の子になる。
妻とサマンサと近所の堤防を散歩中、遠くに黒い、見た目は柴犬よりの雑種犬が見えた。
その時はその黒い犬の傍に2人組が居て、当然その2人組が連れているんだろうと思っていたものの、直後その2人組は走り去ってしまった。(ランニング中だったらしい)
様子がおかしいと近寄ってみると、首輪が繋がれたままの老犬で、周囲に飼い主らしい姿は無い…。
このまま放っておく訳にはいかずしばらくの間一緒にその場で待っていると、堤防の下の道路に1台の車が停車、女性が下りて近寄ってきた。
幸運なことに飼い主だった!
どうやら自宅から脱走してしまっていた様子。
幸いにも大ごとにならずに済んだ。
このケースでは、発見後すぐに保護・家に連れ帰るという事をせず、
「毛並みはキレイだから孤立してからそんなに時間が経っていない」
「飼い主が近くを探しているかもしれない」
と予想してその場を動かなかったのが正解だった。
犬は脱走したからと言って考えなしで歩き回ったりせず、自分が通い慣れた散歩道を選ぶ子が多いんじゃないかと思う。
飼い主も、それを想定していつもの散歩道を重点的に探すはず。
今回発見した堤防がその人たちの散歩ルートだったのかは聞きそびれたけれど、いつも多くの人が犬の散歩にやってくるスポットだからそうだったのかもしれない。
3番目の子
3番目に保護した子も同じ解決の仕方だった。
ただ保護した犬(シーズーだった)が孤立した理由を飼い主に聞くと呆れたことに、
どうやらそのシーズーは、いつも、独りで、散歩に出て満足したら帰ってくるという日々だったらしい。
その独りで散歩中の所を僕が「迷い犬だ」と誤認、保護に至ったわけで…。
堤防上とはいえ車が通ることも珍しくない。飼い主にシーズー犬を引き渡した際にも「車が通るから危ないよ」という事を伝えたのだけれど、後日僕が車で同じ現場を通ると、相変わらず独りで歩いているシーズー犬を目撃した。
くれぐれも…わざわざ言う必要なんて無いのだけれど、独り歩きなんてさせてはいけない。
犬は平気で道路上に飛び出すこともある。
いつまでも帰ってこないと思ったら、事故に遭ってしまったいた、なんて、そんなお別れの仕方が起きていいはずがない。
一緒に散歩をするのはもちろん、車が通る場所など危険が多い場所でノーリードで散歩するということは絶対にしないように。
話が逸れたけれど、
とにかくそのシーズーを保護した後同じようにその場でしばらくの間待っていたのだけれど、「自分で帰ってくる」と思っている飼い主が探しに来るわけもなく、現場で待っていただけでは解決できなかった。
警察や動物病院に問い合わせたけれど迷い犬の、今回に該当する問い合わせはもちろん無い。
この場合警察に連絡すると、嫌な言い方になるが迷い犬は「拾得物扱い」になるので交番に預けに行ったり、この時は「現地まで引き取りに行きます」と言われたのだけれど、「もう少しだけこの場で待ってみて、飼い主が現れなければ僕が直接交番に連れていきます」と伝えた。
このとき僕がすぐに警察に引き渡さなかった理由は後述します。
電話をする前からそれなりに時間が経っていたので、発見した現場の堤防の直下にある民家を訪ねてみようと堤防を降りた直後、とある民家の玄関先から
「ごめん!それうちの子!」と呼び止められ、すぐに飼い主発見に至った。
まったく…。
警察にも無事飼い主が見つかったことを報告し、この1件は解決した。
最初の子
そして、僕が初めて保護し、飼い主発見まで数日かかり、もしもの時はうちで保護し続けようと覚悟までしていた最初の子。
発見場所は近所の河川敷。
時期は極寒の2月。僕の地元ではめったに雪も降らないのだけれど、よりにもよってこの日の数日前には積雪があるほど冷え込んだ日だった。
朝6時過ぎ、いつも日課の河川敷へ散歩にサマンサと出向いた。
川に到着し車から降りたサマンサがすぐに遠くをふらふらと歩く柴犬を発見。
というより、柴犬の方から近寄ってきた。
初めは野良犬かな?と、サマンサも連れていたので僕も少し警戒はしたのだけれど、敵意は見られない、というより助けを求めるような感じで近寄ってきて、サマンサもそれが分かったのか近づいてくるのを許した。
痩せてドロドロに汚れた老犬。
首輪が付いていたので迷い犬に違いない。
この時の僕は迷い犬を保護したことなんて無くてどうすれば良いかもわからない。
とりあえず抱いてあげて寒さを紛らわせてあげた。
そんなとき、いつもよく見かける犬の散歩をしにやってきたおじさんを見つけて、ダメもとでこの子に心当たりが無いか聞いてみた。
残念ながら飼い主に関する情報は得られなかったけれど、話を聞くと、1週間前からこの河川敷を放浪していたらしい。
あの寒さの中、最低でも1週間…。
それを聞いて連れ帰って家で保護する事を決心。家に居た妻も快諾してくれた。
驚いたのが、当時まだまだ幼いサマンサがその迷い犬が近づいても興奮しないで静かに見守っていたこと。
ドッグランや散歩中にほかの犬を見るとどうしてもテンションが上がりがちだったのだけれど…ただならぬ空気を察してくれたのかも。
保護した柴犬を車の助手席にと思ったが、弱り切って足元がおぼつかないので座席から転落してはいけないと考え、上着を助手席の足元に敷いてそこに居させることにした。
よっぽど疲れていたのか怖がりもせず静かに座っていた。
今でこそ笑い話にできるのだけど、いつもの後部座席に座っていたサマンサがじーっと柴犬のことを見ていて。
「なんで自分が後ろであんたが父ちゃんの隣なんや…」
とでも思っていそうな特大の溜息が後ろから聞こえてきて今思うと面白い。
家に到着して、サマンサがもっと小さかったころに使っていたサークルが残っていたので組み立て、そこで落ち着かせることにした。
うちにはサマンサ以外にもフェレットが2人居て、みんななんだなんだと興味津々。
柴犬も「とんでもないやつに保護された」とでも思っていたかも。
おなかを空かせてはいるだろうけど、急にフードを食べさせると胃がびっくりしてしまうかもしれないから犬用のミルクを少しづつ、複数回に分けて与えると特に警戒することもなく平らげた。
後になって思ったが、ミルクを与えることもまず病院に連れて行って獣医のアドバイスを聞いてからの方が良かったかもしれない。
身体も温まり気が抜けたのかウトウト、しばらくすると眠りについた。
仕事も休みを取り、少し落ち着いてから動物病院に連れて行く事に。
待合室で待っている間柴犬は妻に預け、僕は警察や他の病院に迷い犬の届け出が無いか電話をし続けたけど…残念ながらこの時には手掛かりになるものは何も無し。
そして、このとき警察にこう聞かれた
「迷い犬は「拾得物」扱いになります。警察署(交番)で一定期間預かった後、飼い主が現れなければ保健所に送ることになります。」
『保健所』というワードにゾクリ。このままだとあの柴犬には未来は無いかもしれない。
もう迷うこともなく「そのときは自分が引き取る」と警察に伝え、事後報告になったけれど、これも妻は快諾してくれた。
診察を済ませ、元々老犬であったから内臓に少し異常があったものの命に関わるような問題はなく一安心。
帰り道の車中では元気が出てきたのか興味津々に外の景色を眺めていた。
そしてその帰り道の途中の事。
再び警察からの電話。
「他の警察署に問い合わせたところ、隣町の交番で特徴が一致する犬が2週間前に居なくなったとの届け出があった」
とのこと。
警察がわざわざ他の警察署に聞いて回ってくれたということだから驚き。感謝しかありません。
続けて
「届け出主に電話番号を教える許可を得たので、直接電話してあげてほしい」と。
手が早すぎて驚きの連続。
すぐに電話してあげると秒で出た。
「2週間前にしばらく家を空けることになり、知人に犬を預けていたら脱走してしまったらしい」とのこと
毛色や付けていた首輪の柄や色を伝えると間違いないと大喜び。そりゃそうだ。
老犬が2週間もあの極寒を生き延びられるとは思えず、半ばあきらめかけていたそうだ。
よほど嬉しかったのだろう、電話の際に呂律は回っていないし声が大きすぎて僕の耳がおかしくなりそうだったけど、その声を聴いていると僕もうれしくなる。
確証が欲しかったのでLINEで写真を送りたかったけど相手はガラケーらしくそれができない。
そこで首輪をどこで買ってどのあたりに陳列していたのかを教えてもらったので実際に確認しに行ってみると確かに同じものがあったのでそこで確信を得られた。
一気に気が抜けた。
すぐに本当の飼い主の元に連れて行ってやりたかったけど、どうやら相手は長距離トラックのドライバーらしく戻るのは翌日の夕方とのころ。
一瞬、「仕事なんて放っておいて今すぐ逢いに来てやれ!」と思ってしまったけれど、急いで帰ってきて事故でも起こされたら元も子もない。
翌日まで預かることになり、家に着くと柴犬の立場は「保護犬」から「お客さん」に。
一緒におやつを食べたり少しだけ外を散歩に行ったり。
サマンサも一緒に散歩に出て、仲良く、とは違ったかもしれないけど並んで一緒に歩いていた。
翌日夕方、待ち合わせ場所に連絡をくれた交番を提供してもらい待つこと数分。
飼い主らしいおじさんが駆け寄ってきて、それに気が付いた柴犬も僕たちは見られなかった勢いで尻尾をブンブン降りまわす!
その様子を見ればあの人が飼い主なんだとすぐにわかった。
お礼の嵐を頂き、連絡を仲介してくれたおまわりさんも交番に居たので僕からもお礼を言って解散。
こうしてこの一件は解決となりました。
犬を保護するというのはとても覚悟がいること。
飼い主が見つからなければ、然るべき機関に引き渡すのか、その子を引き取り最期まで面倒を見るのかを選択しなければいけない。
捨て犬・迷い犬・野良犬…もちろん犬に限ったことではないけど、見つけたけれど見て見ぬふりをする事を僕は薄情だとは思わない。
僕も身に染みて分かったことだけれど、動物を迎えるという事はとても大きな責任が伴う。
迎えてから、やっぱり無理だったっていうのが一番良くないのだから、それらを理解したうえで見て見ぬフリをするというのは非難できない。
ただそれでも、今回のように迷い犬を見つけて放っておけないという人に少しでも解決の役に立てればという気持ちでこの体験談を書いてみました。
それぞれ元の飼い主様の許可を頂けていないので、個人が特定できないようにざっくりのお話になってます。
つたない文章で分かりづらいかもしれないけれど、同じ境遇に遭った人に向けて、少しでも本当の飼い主様の所へ帰られる可能性を少しでも上げられることを願って…。
ではまた。
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