サマンサロス

ついに来てしまった。

出張

とはいえたった2泊なんだけれど、サマンサは経験する事がほとんど無い、僕が数日家に居ない状況。

昼間の留守番程度なら寝て過ごしているようだからへっちゃらなんだろうけど、いくら妻が居てくれるとはいえ、僕の事が大好き(親バカ)なサマンサが丸2日間も僕と離れ離れになるのに耐えられるだろうかと僕も出張中心配でならない。

実はその2日間の出張の前週にも一泊だけの出張があり、僕が留守にしているその間にサマンサのう○ちに鮮血が混じるという事件があった。

さすがに外泊した翌日にすぐ体調に変化は出ないだろうし、鮮血であることと、サマンサの様子を見ていた妻曰く直前にもう1度う○ちをしていてそれがなかなか立派なサイズだったという事だったからまぁ恐らくそれが原因だろうから心配はいらないか…とは思っていたけれど念のため電話でかかりつけの先生に聞いてみようという事に。

病院も「緊急性は無さそうだからしばらく様子を見てあげてください」という事だったからその晩はゆっくり自宅で療養。

数日様子を見て、それ以降出血も無かったので一安心。

なんだけれど。

僕の外泊が原因ではないんだろうけど、やっぱり心配なものは心配。

ましてや次は2泊。

肉体的には平気でも精神的にはやっぱり辛いだろう。

そして迎えた出張当日。

荷物の多さと僕の様子がいつもと違うのが分かるようで、どことなく表情も落ち込み気味のサマンサ。

それでもぐずったり抗議したりイタズラなんかも一切しないお利口さん。

いつもより少しだけ長めに別れの挨拶をしていざ出発。

夕方ホテルに到着したころに妻からこんな写真が送られてきた。

車の音がするたびに扉の前で僕を待っているらしい。

この姿を見た瞬間、ホームシックというか、猛烈に帰りたくなった。

ホテルでひとり哀愁に浸っていると妻からさらに写真が1枚。

おやつには勝てないらしい。
兄ちゃん姉ちゃんに奪われないように机の下で隠れてガムを頬張るサマンサ。

まぁそれで寂しさが紛れるなら良いのだ。うん。

僕が思っていた以上に案外平気…なのかもしれない。
喜ばしいやら寂しいやら。

ともかく最終日となり、その日は仕事が終わり次第大急ぎで帰る事にした。

ズタボロのスーパーカブに跨り今にも爆発しそうなエンジン音を響かせながら自宅近くの堤防上を走る。
堤防を降りればすぐ自宅、というところまできて、

静かに家に帰ってサマンサを驚かせてやろう!

と、イタズラ心に火が付いた

エンジン音が自宅に届くかどうかギリギリというところで思いついたもんだから、少々急ブレーキ気味に原付を停め…ようとしたその瞬間

破裂音と同時にタイヤがパンク。

いやもうほんと、余計なことをするんじゃなかった。

以前からそろそろ替え時、とは思っていたけれどまさかこんなタイミングでパンクするなんて。

ズルズルと結局大きい音を立てながら駐車場に到着し玄関の扉の前に立つと、開かずとも伝わってくるサマンサの気配。


当然、バレバレでした。


壁にバンバンと長く大きい尻尾を振ってぶつけている音も聞こえてきた。


…毎日この瞬間の為に頑張ってるなぁ、としみじみ。


扉を開けるとサマンサの熱烈歓迎!


お腹を出して大喜びする時間がいつもの3倍くらいは長かったような気がします。


なんだかんだ寂しかったに違いない。そもそも僕だって寂しかったんだから。


サマンサの心配ばかりしていたけれど、結局離れ離れになるのがイヤなのは僕の方だったりするかもしれないと気が付いた出来事なのでした。

ではまた。

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